2014年 04月 07日
「短角牛(日本短角種)」とは? |
「短角牛」は、正式には「日本短角種(にほんたんかくしゅ)」という品種の和牛です。藩政時代に南部藩(現在の岩手県北部、青森県東部、秋田県北部)で荷役のため飼われていた「南部牛」をルーツにもち、岩手県を中心に北東北3県と北海道が主な産地です。
そもそも「和牛」とは、日本古来の在来種に、明治時代以降外国種などを交配して改良した食肉専用種を指し、「黒毛和種」「日本短角種」「褐毛(あかげ)和種」「無角和種」の4種類があります。
「黒毛和牛」は長い年月をかけて日本人の好みに合う肉になるように改良されてきました。「前沢牛」「松坂牛」「神戸牛」など、とろけるような霜降り肉で知られる銘柄牛は、ほとんどが黒毛和牛です。
一方、短角牛は岩手の民謡『南部牛追い唄』に唄われる「南部牛」とアメリカのショートホーン種との交配により誕生しました。岩手県で初めてショートホーン種を導入したのは、岩泉町の篤農家で、明治4年のことです。昭和に入ると交通網の発達から荷役牛としての役割を終えて肉用牛へと改良が進められ、昭和32年に「日本短角種」として正式に登録されました。
短角牛の特長は、寒さに強く、放牧に適し、泌乳量が豊富で子育て上手な点にあります。これは、「夏山冬里(なつやまふゆさと)方式」と呼ばれる独特の飼養方法と深く関わっています。春先に生まれた子牛は、新緑の季節になると広大な放牧地に放たれ、母牛と一緒に運動しながらたくさんの牧草を食べ、雪が降る前に里におりて農家の家族の一員として牛舎で育ちます。このため短角牛の肉は、低脂肪・高蛋白の滋味深い赤身肉となります。
また、短角牛は健康的な牛肉を生み出すだけでなく、人と自然の調和した美しい景観をも作り出します。主産地である岩手県岩泉町安家(あっか)森(もり)では明治時代から短角牛の林間放牧が行われ、「カヌカ平」と呼ばれる天然ノシバが保たれています。牛肉輸入自由化以降、短角牛の飼育頭数は減少傾向にありますが、自然環境への負荷を抑えた持続可能は畜産のモデルとして、未来に伝えるべき貴重な文化的財産でもあります。
短角牛の繁殖・肥育に取り組むスローフード岩手の合砂哲夫会長は、「短角牛はこの地で育ってきた。短角牛がいるから山の暮らしが守られている。それを多くの人に知ってもらいたいし、短角牛肉を食べることで山村の暮らしを支えてもらいたい。」と話しています。
スローフード岩手では、地域の風土に根差した「短角牛とともにある暮らし」を未来へ受け継いでいくために、産地見学会や短角牛肉の美味しさへの理解を深めるための食事会などを開催しています。
短角牛についてもっと詳しく知りたい方は、以下のサイトをご覧ください。
「食のたからもの再発見プロジェクト 第17弾『短角牛』」
1.なぜ、たからものなのか
2.どうやって作られるのか
3.どんなところに残っているのか
4.どこで味わい、買うことができるのか
5.人物ファイル
そもそも「和牛」とは、日本古来の在来種に、明治時代以降外国種などを交配して改良した食肉専用種を指し、「黒毛和種」「日本短角種」「褐毛(あかげ)和種」「無角和種」の4種類があります。
「黒毛和牛」は長い年月をかけて日本人の好みに合う肉になるように改良されてきました。「前沢牛」「松坂牛」「神戸牛」など、とろけるような霜降り肉で知られる銘柄牛は、ほとんどが黒毛和牛です。
一方、短角牛は岩手の民謡『南部牛追い唄』に唄われる「南部牛」とアメリカのショートホーン種との交配により誕生しました。岩手県で初めてショートホーン種を導入したのは、岩泉町の篤農家で、明治4年のことです。昭和に入ると交通網の発達から荷役牛としての役割を終えて肉用牛へと改良が進められ、昭和32年に「日本短角種」として正式に登録されました。
短角牛の特長は、寒さに強く、放牧に適し、泌乳量が豊富で子育て上手な点にあります。これは、「夏山冬里(なつやまふゆさと)方式」と呼ばれる独特の飼養方法と深く関わっています。春先に生まれた子牛は、新緑の季節になると広大な放牧地に放たれ、母牛と一緒に運動しながらたくさんの牧草を食べ、雪が降る前に里におりて農家の家族の一員として牛舎で育ちます。このため短角牛の肉は、低脂肪・高蛋白の滋味深い赤身肉となります。
また、短角牛は健康的な牛肉を生み出すだけでなく、人と自然の調和した美しい景観をも作り出します。主産地である岩手県岩泉町安家(あっか)森(もり)では明治時代から短角牛の林間放牧が行われ、「カヌカ平」と呼ばれる天然ノシバが保たれています。牛肉輸入自由化以降、短角牛の飼育頭数は減少傾向にありますが、自然環境への負荷を抑えた持続可能は畜産のモデルとして、未来に伝えるべき貴重な文化的財産でもあります。
短角牛の繁殖・肥育に取り組むスローフード岩手の合砂哲夫会長は、「短角牛はこの地で育ってきた。短角牛がいるから山の暮らしが守られている。それを多くの人に知ってもらいたいし、短角牛肉を食べることで山村の暮らしを支えてもらいたい。」と話しています。
スローフード岩手では、地域の風土に根差した「短角牛とともにある暮らし」を未来へ受け継いでいくために、産地見学会や短角牛肉の美味しさへの理解を深めるための食事会などを開催しています。
短角牛についてもっと詳しく知りたい方は、以下のサイトをご覧ください。
「食のたからもの再発見プロジェクト 第17弾『短角牛』」
1.なぜ、たからものなのか
2.どうやって作られるのか
3.どんなところに残っているのか
4.どこで味わい、買うことができるのか
5.人物ファイル
by slowfoodiwate
| 2014-04-07 13:50
| 味の箱舟 日本短角種(短角牛)